
飛鳥・藤原の宮都とは?世界遺産登録を目指す範囲・構成資産・経緯を解説
飛鳥・藤原の宮都とは?世界遺産登録を目指す範囲・構成資産・経緯を解説
奈良県の飛鳥・藤原地域が、世界遺産登録に向けて大きく注目されています。
正式名称は「飛鳥・藤原の宮都」。 飛鳥時代から藤原京の時代にかけて、日本の政治・文化・宗教の基礎が形づくられた場所です。
2026年6月6日には、世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスから 「記載」が適当との勧告が出され、世界遺産登録へ大きく前進しました。
飛鳥・藤原の宮都とは?
公式サイトでは、飛鳥・藤原地域について、東アジアとの政治的・文化的交流によって中央集権体制に基づいた宮都が誕生し、 日本国誕生の舞台となった場所だと説明されています。
飛鳥時代は、推古天皇が592年に飛鳥の豊浦宮で即位してから、710年に平城京へ遷都するまでの約120年間を指します。 この時代に、遣隋使、憲法十七条、大化の改新、壬申の乱、大宝律令などを経て、「日本」という国の仕組みが整えられていきました。
つまり飛鳥・藤原は、単なる古代遺跡の集まりではなく、 日本の国家形成を物語る遺跡群として評価されているのです。
公式サイトでは、飛鳥・藤原を「日本の心のふるさと」と表現しています。 1300年以上を経た今も、田園景観の中に遺跡が良好に伝えられている点も大きな特徴です。
なぜ世界遺産を目指しているのか
飛鳥・藤原の価値は、6世紀末から8世紀初頭にかけて、 東アジアの東端に位置する日本列島で、 初めて中央集権体制に基づく宮都が誕生したことを示している点にあります。
中国や朝鮮半島との交流によって、仏教、律令制度、瓦葺建物、都市計画などが導入され、 それらが日本固有の伝統と融合して、独自の国家の形へと発展しました。
藤原宮・藤原京では、それまで飛鳥で形成されてきた律令国家体制が実を結び、 本格的な古代都市として完成していきます。
対象となる範囲・エリア
「飛鳥・藤原の宮都」は、ひとつの建物や寺院だけを指すものではありません。
明日香村、橿原市、桜井市にまたがる古代の宮殿跡、寺院跡、古墳などをまとめた 複数の構成資産からなる遺跡群です。
飛鳥エリアには飛鳥宮跡、飛鳥寺跡、石舞台古墳、高松塚古墳、キトラ古墳などがあり、 藤原エリアには藤原宮跡、大官大寺跡、本薬師寺跡などが含まれます。
構成資産は大きく3分類
公式サイトの構成資産紹介では、資産の価値を大きく3つに分けて整理しています。
- 宮殿・官衙跡:中央集権国家の形成過程を示す遺跡
- 仏教寺院跡:国家宗教としての仏教寺院の成立を示す遺跡
- 墳墓:律令による墓制の変化を示す古墳
これらが組み合わさることで、政治、宗教、都市計画、墓制の変化まで含めて、 古代国家がどのように成立していったのかを立体的に伝えています。
主な構成資産を紹介
主な構成資産には、以下のような遺跡があります。
| 分類 | 主な構成資産 |
|---|---|
| 宮殿・官衙跡 | 飛鳥宮跡、飛鳥京跡苑池、飛鳥水落遺跡、酒船石遺跡、藤原宮跡 |
| 仏教寺院跡 | 飛鳥寺跡、橘寺跡、山田寺跡、川原寺跡、檜隈寺跡、大官大寺跡、本薬師寺跡 |
| 墳墓 | 石舞台古墳、菖蒲池古墳、牽牛子塚古墳、天武・持統天皇陵古墳、中尾山古墳、キトラ古墳、高松塚古墳 |
飛鳥宮跡は、7世紀に建設された4時期の宮殿遺跡です。 歴代天皇の宮殿が置かれ、日本古代史上の重要な出来事の舞台にもなりました。
藤原宮跡藤原宮跡は、694年に持統天皇が飛鳥浄御原宮から遷った宮殿跡です。 約1キロ四方の宮殿に、天皇の居住区、政務・儀式の空間、役所などが集約され、 後の平城京や平安京の原型にもつながったとされています。
飛鳥寺跡飛鳥寺跡は、日本で最初の本格的伽藍を持つ仏教寺院の遺跡です。 仏教の受容と国家形成の関係を考えるうえで、非常に重要な資産です。
高松塚古墳・キトラ古墳高松塚古墳やキトラ古墳には壁画が描かれており、 東アジア世界の思想や芸術が日本に伝わったことを示す資産として知られています。
世界遺産登録までの経緯
2026年6月6日、世界遺産委員会の諮問機関であるイコモスによる評価結果が公表されました。
その結果、「飛鳥・藤原の宮都」については、 世界遺産一覧表への「記載」が適当 との勧告がなされました。
ただし、これで正式登録が決定したわけではありません。 今後、第48回世界遺産委員会で審議され、正式に世界遺産一覧表へ記載されるかが決まります。
| 2026年6月6日 | イコモスによる評価結果が公表 |
|---|---|
| 評価結果 | 「記載」が適当との勧告 |
| 今後の予定 | 第48回世界遺産委員会で正式に審議 |
登録されると何が変わる?
世界遺産に登録されると、国内外からの注目度が高まり、観光客の増加が期待されます。
一方で、世界遺産は「登録されて終わり」ではありません。 登録後は、その価値を将来にわたって守り、伝えていく責任も大きくなります。
公式サイトでも、飛鳥・藤原の価値を踏まえ、 地域づくりや来訪者との交流促進、国内外への情報発信を進めていくことの大切さが示されています。
観光地としてのにぎわいだけでなく、 文化遺産を守りながら活かす ことが、今後の重要なテーマになりそうです。
まとめ
| 名称 | 飛鳥・藤原の宮都 |
|---|---|
| エリア | 明日香村・橿原市・桜井市にまたがる古代遺跡群 |
| 主な価値 | 日本の中央集権国家形成、仏教受容、都市計画、墓制変化を示す |
| 主な構成資産 | 飛鳥宮跡、藤原宮跡、飛鳥寺跡、石舞台古墳、高松塚古墳、キトラ古墳など |
| 現在の状況 | 2026年6月6日にイコモスが「記載」が適当と勧告 |
| 今後 | 第48回世界遺産委員会で正式に審議予定 |
飛鳥・藤原の宮都は、日本という国が形づくられていく過程を今に伝える、非常に重要な遺跡群です。
世界遺産登録に向けて注目が高まる今だからこそ、 飛鳥宮跡や藤原宮跡、飛鳥寺跡、高松塚古墳などを訪れ、 日本のはじまりに触れる旅 を楽しんでみてはいかがでしょうか。
