
奈良県には古墳がいくつある?一度は見たい有名古墳10選を紹介
奈良県といえば、東大寺や春日大社、法隆寺などの寺社を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし奈良は、日本屈指の
「古墳の多い県」
でもあります。
奈良文化財研究所の集計では、奈良県内で確認されている古墳・横穴は9,663遺跡。
県内にある遺跡全体の7割以上を占めており、奈良の歴史を知るうえで古墳時代の遺跡は欠かせない存在です。
今回は、数多く残る奈良県の古墳の中から、歴史的な重要性や知名度、現地での見学のしやすさなどを踏まえて、
特に有名な古墳10か所
を紹介します。
奈良県には古墳がどれだけある?
観光情報などでは、端数をまとめて「約9,700基」と紹介されることもあります。
古墳は、古墳時代を中心に造られた有力者の墓です。
円墳・方墳・前方後円墳など、形や規模はさまざま。奈良盆地では、桜井市・天理市・奈良市・橿原市・明日香村・馬見丘陵周辺などに多く分布しています。
山のように見える巨大な古墳もあれば、田園や住宅地の中に静かに残る小規模な古墳もあります。
日常の風景の中に古代の遺跡が共存していることも、奈良ならではの魅力です。
古墳の中には、宮内庁が陵墓として管理しているため墳丘内へ入れない場所もあります。
反対に、石舞台古墳のように石室内部へ入れる古墳や、展示館で出土品のレプリカを見学できる古墳もあります。
① 箸墓古墳|最初期の大型前方後円墳
3世紀中頃から後半に築かれたと考えられ、日本で最初に築造された大型前方後円墳の一つとされています。
宮内庁では倭迹迹日百襲姫命の墓として管理していますが、築造時期や纒向遺跡との関係から、 邪馬台国の女王・卑弥呼の墓ではないか という説でも広く知られています。
墳丘内には立ち入れませんが、周辺道路や周濠付近から巨大な姿を見ることができます。
JR巻向駅から纒向遺跡とあわせて歩く古代史散策もおすすめです。
箸墓古墳|奈良県桜井市箸中
② 石舞台古墳|巨大な石室に入れる飛鳥の象徴
本来は土を盛った墳丘がありましたが、現在は石室部分が現れ、その姿が舞台のように見えることから「石舞台」と呼ばれています。
被葬者は確定していませんが、飛鳥時代の有力者である 蘇我馬子の墓ではないか とする説が有名です。
石室内部へ入って見学できる点も大きな魅力。
巨石を間近で見上げると、古代の土木技術と古墳の規模を体感できます。
石舞台古墳|奈良県高市郡明日香村島庄254
③ 高松塚古墳|極彩色壁画で知られる古墳
1972年に石室内から極彩色壁画が発見され、日本の考古学史に残る大きなニュースとなりました。
東西の壁に描かれた男女の人物群像は、通称 「飛鳥美人」 として広く知られています。
ほかにも四神、星宿図、日月像などが描かれていました。
墳丘の近くには高松塚壁画館があり、石室や壁画の精巧な模写を通して発見当時の姿を学べます。
高松塚古墳|奈良県高市郡明日香村平田
④ キトラ古墳|四神と天文図が描かれた古墳
石室の壁には、青龍・白虎・朱雀・玄武の四神、十二支像、日月像、天文図が描かれていました。
特に天井に描かれた天文図は、古代の天文学や東アジアとの交流を考えるうえで非常に重要です。
高松塚古墳では失われていた朱雀が残っていたことも、キトラ古墳壁画の特徴です。
隣接する「四神の館」では、壁画や古墳の構造を映像・模型・展示で詳しく学べます。
キトラ古墳|奈良県高市郡明日香村阿部山
⑤ 黒塚古墳|大量の三角縁神獣鏡が出土
発掘調査では、竪穴式石室から 三角縁神獣鏡33面と画文帯神獣鏡1面 が出土し、大きな注目を集めました。
古墳のそばには無料で見学できる黒塚古墳展示館があります。
館内には竪穴式石室が実物大で再現され、出土した鏡や鉄製刀剣類のレプリカも展示されています。
古墳を外から見るだけでなく、埋葬施設や副葬品まで詳しく知りたい方におすすめです。
黒塚古墳|奈良県天理市柳本町1118-2周辺
⑥ 牽牛子塚古墳|八角形に復元された終末期古墳
発掘調査によって対角長約22メートルの八角墳であったことが確認され、整備後は古代の姿をイメージした八角形の墳丘を見学できます。
石室には二つの埋葬空間が設けられており、 斉明天皇と娘の間人皇女が埋葬された古墳ではないか と考える説があります。
近くには越塚御門古墳もあり、古代の皇族墓を考えるうえで重要なエリアです。
牽牛子塚古墳|奈良県高市郡明日香村越
⑦ 都塚古墳|階段状の墳丘が特徴
発掘調査によって、墳丘が階段状に築かれていたことが分かり、 「飛鳥のピラミッド」 と呼ばれて話題になりました。
横穴式石室には家形石棺が残されており、石室内を外から見学できます。
蘇我稲目など、蘇我氏に関係する人物の墓ではないかという説もあります。
石舞台古墳から比較的近いため、あわせて巡りやすい古墳です。
都塚古墳|奈良県高市郡明日香村阪田
⑧ メスリ山古墳|巨大埴輪が出土した大型古墳
桜井市4世紀頃に築かれたと考えられ、初期ヤマト王権を代表する古墳の一つです。
発掘調査では、大型の円筒埴輪や武器・武具類などが見つかっています。
中でも高さ2メートルを超える巨大な円筒埴輪は、古墳の壮大さを伝える資料として知られています。
墳丘は木々に覆われており、一見すると自然の山のように見える古墳です。
メスリ山古墳|奈良県桜井市高田
⑨ 西殿塚古墳|大和古墳群を代表する巨大古墳
3世紀後半から4世紀初頭頃に築かれたと考えられ、大和古墳群を代表する古墳の一つです。
宮内庁では手白香皇女衾田陵として管理しているため、墳丘内へは入れません。
周辺には東殿塚古墳や中山大塚古墳などもあり、 大型古墳が集まる大和古墳群 の規模を感じられます。
山の辺の道の散策と組み合わせて訪れるのがおすすめです。
西殿塚古墳|奈良県天理市中山町
⑩ 島の山古墳|馬見古墳群を代表する前方後円墳
馬見古墳群の南部に位置し、5世紀前半頃に築かれたと考えられています。
発掘調査では、鍬形石や車輪石、石釧などの腕輪形石製品をはじめ、多数の副葬品が見つかりました。
埋葬された人物の権力や、当時の祭祀を考えるうえで重要な古墳です。
墳丘内には入れませんが、周濠とともに残る大きな古墳の姿を周辺から確認できます。
島の山古墳|奈良県磯城郡川西町唐院
奈良県の有名古墳10選一覧
| 古墳名 | 所在地 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 箸墓古墳 | 桜井市 | 最初期の大型前方後円墳・卑弥呼の墓説 |
| 石舞台古墳 | 明日香村 | 巨大な横穴式石室の内部を見学できる |
| 高松塚古墳 | 明日香村 | 極彩色壁画・飛鳥美人で有名 |
| キトラ古墳 | 明日香村 | 四神・十二支像・天文図の壁画 |
| 黒塚古墳 | 天理市 | 三角縁神獣鏡33面が出土 |
| 牽牛子塚古墳 | 明日香村 | 八角墳・斉明天皇陵説 |
| 都塚古墳 | 明日香村 | 階段状の墳丘・飛鳥のピラミッド |
| メスリ山古墳 | 桜井市 | 初期ヤマト王権を代表する大型古墳 |
| 西殿塚古墳 | 天理市 | 大和古墳群を代表する大型前方後円墳 |
| 島の山古墳 | 川西町 | 馬見古墳群南部の大型前方後円墳 |
初めての古墳巡りにおすすめのエリア
レンタサイクルを利用すると、飛鳥の田園風景や史跡を楽しみながら効率よく巡れます。 古墳時代前期の歴史をたどるなら桜井市・天理市 箸墓古墳、メスリ山古墳、西殿塚古墳、黒塚古墳など、初期ヤマト王権と関わりの深い大型古墳が集まっています。
纒向遺跡や山の辺の道と組み合わせると、奈良盆地東部の古代史をより深く感じられます。 古墳群の規模を感じるなら馬見丘陵 川西町・河合町・広陵町・香芝市に広がる馬見古墳群には、島の山古墳をはじめ多数の古墳があります。
馬見丘陵公園内にも古墳が残り、公園散策とあわせて楽しめます。
国営飛鳥歴史公園の古墳巡りコースは、徒歩で約5〜6時間、自転車で約2〜3時間が目安です。
高松塚古墳・キトラ古墳・都塚古墳・石舞台古墳などをまとめて巡れます。
古墳を見学するときの注意点
墳丘や立入禁止区域へ入らない、農道や住宅の前に駐車しない、草木や石を持ち帰らないなど、現地の案内とマナーを守って見学しましょう。
また、古墳によっては駐車場がない場合があります。
明日香村ではバスやレンタサイクル、桜井市・天理市ではJR桜井線など、公共交通機関を活用するのもおすすめです。
まとめ|奈良の風景の中に眠る古代史を訪ねよう
巨大な前方後円墳、石室に入れる古墳、極彩色壁画が見つかった古墳など、その姿と歴史はさまざまです。
古墳を巡ることは、日本の国づくりが始まった時代の痕跡を、現在の奈良の風景の中でたどる旅でもあります。
まずは石舞台古墳や高松塚古墳、キトラ古墳など、見学施設が整った明日香村の古墳から訪れてみてはいかがでしょうか。
※古墳の築造年代・被葬者については複数の説がある場合があります。見学可能範囲、開館日、料金、交通情報は変更されることがあるため、訪問前に自治体や施設の公式情報をご確認ください。
